112: 名無しさん@おーぷん 2014/09/04(木)00:30:50 ID:???
勤めている職場に他地域から転勤してきた20代半ばの男性。
「追い出されたらしい」
という不穏な噂が流れ、大卒なのに作業系の配置なことから確信に。
でも見た目は大人しそうだし、仕事も真面目にやるそうで、
「悪いうわさが先行したんだね~」
と。


ある日私の机に彼が来て仕事の事を質問してきた。
「この書類の様式について教えてください」
「はい、どこの箇所の事ですか?」
「この住所の所なんですけどこれは僕の住所ですか?」
「え?いやこれは取引先との書類なのでここの住所です。印鑑が各部署にあるから
(さえぎって)でも発送するのは僕じゃないですか、それに僕は中学の時に社会の先生にこの先生は僕の担任にはならなかったけど僕の思い出の中で一番の先生で、その先生に住所をきれいな字に書けるように練習しなさいと言われて住所や名前はとても大事なものだからおろそかにしてはいけないと言われたんですよ
で、この欄の描く住所は僕の住所でいいですか?」

「……え?」「え?」
内容ははっきり覚えてないんだけど、何故か中学の社会の先生の話が入ってきて大混乱。

「いや、それとは関係なくね、この書類は会社の書類だからね?
(またさえぎって)早く作れと言われているけど作り方が分からないんです僕は昔から人より遅くて50m走も10秒以上かかってみんなに亀亀と言われてだから今僕亀を飼ってるんですよ。だから早め早めに教えてもらおうと思って聞きに来ました。この住所路の欄は~~」
「え?」「え?」




正直ここで
「この人頭おかしい。怖い」
となって固まってしまった。
50m走りとか亀飼ってるとか、無駄なエピソードが必ず挟まれるので、
「この欄の!住所は!会社の!住所!」
とマジックで書いて説明して納得してもらった。

が、こんどは品番名のアルファベッドを大文字小文字か、Zに横線は入るんかでまた学生時代のエピソードがなだれこんでギブアップ。
「部署の人に教えてもらって」
と放り投げると
「誰も教えてくれない」
だって。
ああ、散々やったんだな…と。
もうぐちゃぐちゃになりながらなんとか書類一枚の描き方を説明。
しかし後日、別の社員に
「この書類の住所は~」
と聞いているのを発見。
書類が変わると分からなくなるらしい。

「あれはもう病院行くレベルじゃない?」
と話していたが、彼の症状はどんどん悪化していき、それまで無駄に長いだけで話は通じていたのに、とうとうそれも不可能になっていった。
「今日は朝から日差しが強くて車のヘッドライトみたいだけど公園のもまぶしくて犬を散歩させると危ない」
彼の中では話はしっかりつながっているらしく、他人が「?」という顔をするとイライラしだす。
「まぶしい→ヘッドライト→公園の明かり→公園で犬を散歩させると危ない」
ということらしかった。
万事がこうなってしまい、会社がほぼ強制で病院に連れて行きそれっきり彼を見ていない。

彼が元いた部署の人に後日あって話を聞いたけど、入社した時から話が回りくどいし、なにを言っているか分からないことはあったそうだ。
でもそこまでは酷くなかった。
しかし
「学生のころから付き合ってる彼女に振られた」
と彼が言い、慰めるために飲みに連れて行ったら
「勝手に結婚していた」
と言いだし。
なんか変じゃね?
とよく聞いてみたら別に恋人でもなんでもなかった、という事件があって以降、急激に悪化してったんだそうだ。
その部署は営業がメインだったため、話が不自由な彼は作業系のあるうちの部署に飛ばされたきた、と。

何らかの障害だったんだろうか。
意味の分からない言葉が雪崩のように溢れてくる様は気の毒だけど怖かった。



なんでもない話 (講談社文庫)