119: 名無しさん@おーぷん 20/08/08(土)19:05:12 ID:VL.pc.L1
テレビを見てて思い出した話。

私が大学に入学したばかりの頃、遠縁の人(以下Aさん)が亡くなった。
Aさんが亡くなったことで、Aさんの家で代々続いてきた家業も畳むことになった。
この事はAが生前から決めていた事で、親戚は皆納得済。
特に揉める事もなく、葬式も始終和やかに進んだ。

Aさんの家業は製造業で、作っていたのは私も子供の時から馴染みのある品。
それがニ度と手に入らないのは、分かっていても物悲しいものだね。
…と大学で出来たばかりの友人たちに話していたら、
そのうち1人が突然立ち上がって叫び出した。




「なんで、あなたが跡を継がなかったの!」

普段あまり喋らない彼女が、そこから怒涛の勢いで自説を語り出した。
「(意訳)最近は後継者不足で伝統文化が無くなりつつある!せっかくあなたは、その文化に触れる機会があったのに、あっさり手放すなんて!Aさんがかわいそう!伝統を壊すなんてとんでもない奴!」
大体この様な趣旨のことを言われた。

『いや、廃業はAさん自身の意思だ』とか、『大量生産品に圧されて売り上げ落ちていた』とか言いたいことが沢山あったけど、私が言えたのは一言だけだった。
「じゃあ自分がやれば?」
「え」
「確かに!そこまで言うなら自分がやればいいよね」
乗ってくれてありがとう、友人2号。
「やりたい人がやればいいのよ。
嫌々やらされてもやる気なんかでないし」

「だよねー。
Aさん、元々家業を継ぎたくなかった人らしくって、思うところがあったみたいだよ」

「マジで?
やっぱり無理矢理はダメだよね。それでさー」

そのままAさんの話題はそこで終了。
友人1号もいつの間にか座っていた。

友人1号は大学卒業後、完全に縁が切れたので今何をしているか知らない。
あれだけの熱意があれば、
(どこかの伝統文化を守ってくれていたら)
と思う。
私には出来ないことだから。

以上が、テレビで『コロナで商品が大量に売れ残って』と嘆いている業者さんを見てて思い出したこと。
(Aさんが生きていたら、コロナをきっかけに家業を閉めただろーなー)
と思いつつ。



まるごと・どーぞ♡