869: 名無しさん@おーぷん 21/07/09(金)09:34:52 ID:2j.rw.L1
二十代前半のとき、気持ち悪い職場でバイトしたことがある。

ハウスクリーニング(賃貸アパートのクリーニングなど)の会社だったので、大体2人でペアになって車で現場に行く。
初日はAさんという男性(三十代後半、バカリズム似)だったんだけど、車で少しの沈黙のあと
A「職人道ってなんだと思う?」
と聞かれた。

初めて聞いた言葉だったんで
「え、職人として働く上での心構え?とかプライドみたいな感じですか?」
と言うと、微妙に当たりだったらしく、寿司屋の飯炊き3年握り8年がいかに素晴らしいか、師匠と弟子の良さなど語り出した。




最終的に
「君には分からないと思うけど、職人にとって道具は命の次に大事なんだ。
俺が今使ってる道具だって、もしなくなったら俺は仕事しない」

と言われたので、
(仕事はしろよ)
と思いつつ
「私も現場仕事はこれが初めてではないので道具の大切さは分かります。
仕事に限らず道具を大切にすることは基本ですよね」

と言うと、
すごい微妙な顔したあとに私の過去の仕事?(中学まで大工の祖父の手伝い、高校から防水工)
「くだらない仕事」「大した道具使ってない」
と散々馬鹿にしたあげく、
「うちのB子(18歳女性)を見習えってわけじゃないけどさ、もっと気を使うべきだと思うよ。
B子は『いらない』って言ってるのに弁当作ってきたり朝ごはん買ってきたりするんだよ。
あ、弁当作ってこいってことじゃないからね。
そういう気持ちが大事って話ね」

と言われた。

なんか異常な気持ち悪さを感じたのでその場ではなにも言わず、次の日ペアになった先輩女性にその話をした。
すると
「え、Aさんがそんなことを?
んー、Aさんは伝え方が下手だからそういう感じになっちゃったんだろうけど、彼の言葉には絶対教えがあるから言葉の裏を読み取るようにすればきっと色々見えてくると思うよ」

と言われた。
(なんか宗教みたいだな)
と思い、なにも言わなかった。

建設関係の資格勉強のついでのバイトだったので、資格とれたしやめることにした。
最終日、例の弁当作りのB子さんに初めて会ったんだけど、
なんというか目がキラキラだった。
Aさんを尊敬の眼差しで見つめて常について回ってる感じ。
一体なにが彼女をそうさせたのか。

あれから5年経って今は施工管理者として働いているけど、たまにAさんのように職人の在り方などを聞いてもいないのに得意げに語る人がいる。
そういう人達はプライドだけ一丁前で仕事はできない。



仕事しなさい!
仕事しなさい!