889: リノレン酸 21/07/05(月)04:00:25 ID:aS.mc.L1
創作だと思われてもいいので書きます。
長いです、すみません。
特定要素はフェイクありです。


とある会社に勤めていた時の話。
会社全体の大規模な人事異動があり、私も新しい部署へ異動した。
グループリーダー(以下G)と仕事の引継ぎについて話していたところへ、1人の男(以下A)がふらりと現れた。

A「私子(←下の名前)ちゃん、ここのグループに入るんだ?」
G「ええ、今引継ぎをお願いしてます」
A「へぇ…困ったことがあったら何でも言ってね」
私「はい」
後でGさんに確認したら、Aは別の部署の係長だということがわかった。
(別の部署の人がなぜ?)
とは思ったがスルーした。

しばらく経って
『私子はAを避けている』
という噂が出た。
避けてはいない、というか接点がそもそも無い。
私の仕事は当時激務で朝から晩までほぼ缶詰めにされるうえ、Aの部署との繋がりはゼロ。
フロアも違う。
(変な噂だな)
と思いつつ、同じ部署の人は私の状態を把握してくれていたから問題はなかった。

またしばらくしたら私に関する悪い噂が立った。

今度は悪質なので警戒していたら、
お昼休憩を取りながら食堂で嬉々として噂しているAがいた。
その頃の私は昼食もロクに取れないことも多かったので、『今日も来ないだろう』とたかをくくっていたのだろう。
部署に戻ってひとまずGさんに事情を説明。
Gさんは一通り聞いた後、
「あの人なぁ…本当にアレだから…」
と深いため息をついていた。




その日の午後、Aが突然私の部署に現れた。
AはGさんと少し世間話をした後、微妙に小躍りをしながら私のところに来て、
「私子ちゃん、今大変なことなぁい?
…困ったことがあったら何でも相談していいからね!
ぼくだけは私子ちゃんの味方だから!
いい、絶対相談してね!
周りに相談しないのが一番だめだからね!」

と一方的に言って去っていった。

ひとまずこの件も詳細をGさんに報告。
Gさん眉間にシワがよってた。
後日、GさんがAを注意したら噂はひとまず止んだ。

半年後、部下(以下M)を持った。
念願の人手増員のため、気合いを入れて教育してたし可愛がっていた。

そんなある日のこと、
M「××部のAさんが『今夜一緒にご飯行こう』って言うんです」
私は警戒したが、
(止めるのも束縛みたいで変だな)
と思い
「ちょっと癖が強い人だから、深入りしないようにね」
と忠告して様子を見ることにした。
これが大きな判断ミスだった。
MはAから食事や飲みに誘われる度にAにのめり込んでいった。

実はAは仕事ができて、見た目はかなり若い。
実年齢三十代半ばで見た目だけ二十代っぽい、韓流系?
遠くから見ると大学生にも見える(服装が安っぽいだけだが)。
おまけにちやほやされたい願望の強い女子にはたまらない台詞を、顔色一つ変えずに言える。
M以外の同僚でも毒牙にかかった女は多かった。

Mは、だんだんと私やGさんの言う事も聞かなくなってきて、文句もミスも増え、残業が続き身体を壊していった。
そしてある日、Mが倒れた。
呼吸や脈を確認し、医務室に運ぶ手筈をしていたところへ騒ぎを聞きつけたAが来た。
AはぐったりしているMを横目でチラッと見て、Gさんに
「どうしたのM?」
と聞いた。
事情を聞いたAは一言
「ふぅん。
1人で帰らせれば?」


「は?」
思わず声が出た。
続けてAは
「身体壊したのコイツの自業自得でしょ?
体調管理もできないんだもん。
私子ちゃんも大事な仕事があるのに、コイツに構うことないよ」

と言って、Mには
「周りの生産性下げんなよ、さっさと帰れ」
と言った。

その時、我慢の糸がプツッと切れた。
私は真顔でAを見た。
「病気で倒れてる人にそんな言葉しかかけられないなら来なくていいです。
来ないでください。
二度と来んな」
驚くほどスラスラ言えた。
Aは一瞬、私と目が合って笑顔になり、そのままだんだん青ざめていった。

おろおろしているAを尻目にMを担いで医務室へ。
幸い、大したことはなかったMだが、
倒れた後も意識はあったようで、Aの発言を聞いていたらしい。
自分が熱をあげていたAの本性を知ったショックと、今まで世話になってきたGさんや私にしてきたことへの申し訳なさで、Mはこの一件のあとすぐに辞めてしまった。

私も後日、退職を決意した。
理由は、部署に再びAが来て
「私子ちゃん、私子ちゃんはぼくがMちゃんに酷いことをしたから怒ってんだよね?
Mちゃんに優しくすれば私子ちゃん許してくれるよね?」

とかぬかしてきたから。


今は転職して、変わってるけど楽しい人たちと平和に過ごしてます。

長文失礼致しました。



Because OF YOU
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