210: 名無しさん@おーぷん 21/09/26(日)11:34:55 ID:13.8o.L1
あるイギリス文学者の研究誌を私家版で作ることになり、有志で集まった。
リーダーもメンバーも全員女性で、年齢層はバラバラ。
その道の大家なども加わってくれ、同人誌気分で余暇を縫ってなごやかにやってた。

だけど、さて大詰めとなった段階で
「女性ばかりじゃ責任を取れる者がいなくて大変でしょう。
いいですよ、私が責任者になってあげます」
と割りこんできたおっさんがスレタイ。

しかもおっさん、まったくの畑違い。
そもそも英語が読めない。
日本語訳のシェイクスピア一冊すら読んだことないレベル。




なのにめちゃくちゃ口を出し、いちいちマンスプかましてくる。
「俺の知ってる歴史と違う!」←いやあんたの知識、フィクション発だから。
「文章が感情的すぎる!だから女は!」←原文を引用してるだけですが。
「分析が甘い!」←オリジナルを読んだこともないくせになぜ『甘い』とわかる?

大家の先生がおっさんに嫌気がさして去ったのを皮切りに、一人二人と減るメンバー。
先生がいなくなって調子に乗ったおっさんはセクハラまでかますようになったので、集合場所を変えるなどした。
が、行く先々に現れるおっさん。
あとで知ったことだがおっさんに自宅を知られてたメンバーがいて、その人がおっさん怖さに情報を洩らしてた。

最終的におっさんが
「その印刷会社は駄目だ!」
と言いだし、おっさんの知人の印刷所に勝手に依頼。
出来あがってきた見本誌の表紙には、おっさんの名前だけが “著者” としてデカデカと入ってた。
おっさんは話にならないので、印刷所に直談判し、データごと消してもらった。
印刷所もおっさんには迷惑してたみたいで、結構すんなり消してくれた。

結局、
『おっさんに粘着されてるうちは何もできん』
ということで、いったん解散。
ほとぼりが冷めきって、上記の自宅を知られてたメンバーの件がわかったさらにその数年後、やっと私家版を出せた。
(けどメンバーは元の半分くらいしか再結集できなかった。)

ちなみにおっさんは最後まで
「俺がいないとあんたらは駄目なんだから」
「女だけじゃ何もできないんだから」
「俺に感謝しないとな」
と言っていた。
本当に本気でそう思ってるらしかった。

サークルクラッシャーというと女性のイメージがあるけど、あのおっさんこそ真性のクラッシャーだったと思う。



怪奇三昧 英国恐怖小説の世界
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