799: sage 22/01/08(土)17:53:52 ID:bg.uc.L1
上の方にあけおめメッセージの愚痴(※編注:こちらのお話。)があったので私も年賀状の愚痴。

四半世紀に渡って勘違い男から年賀状をもらい続けたけど、今年ようやく決着がついた話。

私はアラフィフなんだけど、
25年前に勘助に目をつけられた。
当時二十代前半。

勘助はバイト先(飲食店)の常連客。
高校生の子供がいる妻子持ち。
当時40歳オーバーだったんじゃないかな。
「やましい気持ちはない。
あなたと純粋にお友達になりたい」

と何度も連絡先を聞かれたけど、
気持ち悪いしまあ意味わかんないし普通にくどかれた方がまだマシだしでまったく相手にしなかった。
バイトも店長がイヤで半年ぐらいでとっとと辞めた。




バイトを辞めた年のお正月、勘助から年賀状が “隣県にある私の実家” に届いた。

私の電話番号や現住所は突き止められなかったらしいけど、実家の住所を調べ上げたらしい。
勘助の年賀状には
「会えなくなって寂しい」
とか勘助の近況とかポエムとかがずらずら書かれてたけど、住所が記載されていないので受取拒否でつっかえすこともできず。
ムカついたし気持ち悪さもあったけど、何しろ勘助との絡みが少なかったので危機感が薄かった。
なので放置した。

年賀状は次の年も、その次の年も届いた。

最初の数年は本当に怖くてしかたなかった。
大好きな祖父が亡くなった喪中の年にも届いて、死ぬほどムカついた。
バイトをしてた県からも引っ越しし、結婚して名字が変わっても、旧姓の宛名で実家に年賀状が届いた。
友達にはあけおめメールを送るようになり、親戚には『年賀状のやり取りは今後控えます』の連絡をし、美容院のDMすら届かなくなっても、
勘助からの年賀状1枚だけが届き続けた。

そうして25年が経った。
私がアラフィフなら勘助は後期高齢者。
近年は勘助の生存確認ツールと化していたけど、今年の年賀状は少し違った。
達筆な字だった。
内容は、不摂生がたたり失明したこと、なので家族に代筆してもらったこと、これが最後の年賀状になること、
「いつまでも幸せをお祈りしています」
で締められてた。

(あの年賀状から解放されたら『やったー!』ってさぞかしスッキリするんだろうな)
とずっと思ってたけど、
終わってみたら闇が深すぎて不気味さと後味の悪さしか残らなかった。
25年間、あの男が胸に抱き続けて憧れ続けた架空の『私』とやらはどんな女だったんだろう。
想像するとゾッとする。



Unseen
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アーティスト:ghost image
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